
「この保険に入って、もう10年以上たつんですけど……」
ここまでは覚えている。
でも、
「何のために入ったんでしたっけ?」
となると、急に保険証券との“初対面感”が出てくる。
保険証券を開いてみると、知らない言葉がずらっと並んでいる。保険料は毎月引き落とされている。でも、自分や家族に何かあったとき、実際に何が受け取れるのかはよくわからない。
そんな状態で、何年も保険料を払い続けている方は少なくありません。
今回、新しくお問い合わせをいただいたご夫婦も、12年前に結婚をきっかけとして複数の保険に加入されていました。
その後、住宅購入、出産、ご主人の独立など、生活は大きく変化。
一方で、保険はほとんど当時のままでした。
今回の結論は、「全部解約して新しい保険に入り直す」ことではありません。
- 今の保険を残す
- 今の生活に合わせて見直す
- 足りない部分がないか確認する
この3つに分けて整理しました。

※この記事は、実際の相談内容をもとに、個人が特定されない範囲で情報を整理しています。特定の保険商品の推奨を目的とするものではありません。
目次
結論:10年前の保険は「古いから変える」のではない
先に結論をお伝えすると、契約から10年たったからといって、必ず保険を変える必要はありません。
大切なのは、
「古いか、新しいか」ではなく、「今の自分に合っているか」
です。
若い頃に加入した保険は、当時の年齢だからこそ保険料などの条件がよい場合もあります。今では同じような条件で入り直しにくい契約もあります。
一方で、10年もたてば、生活の前提は大きく変わることがあります。
- 結婚や出産で守る家族が増えた
- 家を購入して住宅ローンを組んだ
- 転職や独立で働き方・収入が変わった
- 子どもの成長で教育費の時期が見えてきた
- 貯蓄や資産形成が進み、保険の役割が変わった
- 担当者が辞め、誰に相談すればよいかわからない
保険は、加入した当時の生活を前提に設計されています。
だからこそ、生活が変わったタイミングで、今の自分と見比べることが大切です。
今回ご相談いただいたご夫婦の状況
今回ご相談いただいたのは、ご主人が56歳、奥さまが48歳のご夫婦です。
12年前、結婚をきっかけに保険へ加入。その後に住宅を購入し、お子さまが生まれ、ご主人は会社員から個人事業主になられました。
確認した主な契約は、次のような内容でした。
| 対象 | 加入していた保険 | 今回の整理 |
|---|---|---|
| ご主人 | 終身保険 | 見直しを検討 |
| ご主人 | 収入保障保険 | 継続 |
| ご主人 | 変額保険(介護保障のあるタイプ) | 継続 |
| ご主人 | 医療保険 | 見直しを検討 |
| 奥さま | 終身保険 | 見直しを検討 |
| 奥さま | 医療保険 | 見直しを検討 |
| ご夫婦 | 現在の生活に対する備え | 不足がないか確認 |
ポイントは、保険を一括りにしなかったことです。
「新しい保険の方がよさそうだから、全部変える」ではなく、それぞれの保険について、
- 今も役割があるのか
- 今の生活とズレていないか
- 保障が不足していないか
を分けて確認しました。

終身保険は、解約返戻金も含めて確認する
ご夫婦が加入されていた終身保険は、60歳で保険料の払込みが終わり、その後も一生涯の死亡保障が続くタイプでした。
ただし、60歳までは毎月の支払いが続きます。
現在の契約には解約返戻金があったため、今回の相談では、そのお金をどう活用できるかも含めて確認しました。
比較した選択肢の一つが、解約返戻金を原資として、一時払いの保険を活用する考え方です。
相談者ご自身が比較・検討された結果、今回の契約内容では、
- 月々の保険料負担をなくす
- 近い水準の死亡保障を確保する
- 将来受け取る資金についても確認する
という形で整理されました。

ただし、これは「終身保険は解約して、一時払いの保険へ移した方がよい」という意味ではありません。
保険によっては、早い時期に解約すると払込保険料を下回る場合があります。また、解約返戻金、死亡保障、保険料の払込期間、途中でお金を使いたくなった場合の扱いなどは、契約ごとに異なります。
確認したいのは、少なくとも次の項目です。
- 現在の死亡保障額
- 解約返戻金
- 今後支払う保険料の総額
- 保険料の払込終了時期
- 途中で解約・減額した場合の金額
- 将来、必要となるお金の時期
- 保険以外の貯蓄や資産形成の状況
「月々の支払いがなくなる」という一点だけで決めず、保障と家計全体を一緒に見ることが重要です。
浮いたお金を、全部また保険に入れなかった理由
今回、見直しによって毎月の支払いに余裕が生まれました。
では、そのお金をどう使うか。
保険料が下がった分を、すべて別の保険に充てることもできます。
でも、それでは保険料の支払先が変わっただけです。
相談者ご夫婦とは、将来への備えと今の生活の両方を考えながら、次のように整理しました。
- 一部は将来に向けた積立へ
- 必要な備えが不足していないかを確認
- 残りは、家族との食事など今の生活を充実させるために使う

将来に備えることは大切です。
ただ、将来のために保険料を払いすぎて、今の家族との時間や暮らしを我慢し続けることが正解とも限りません。
将来に備えながら、今の生活も大切にする。
保険だけでなく、貯蓄、資産形成、固定費、働き方まで含めて考えるFPとして、僕が大切にしている考え方です。
医療保険は、今の治療と生活に合っているかを見る
今回、医療保険についても確認を行いました。
加入していた医療保険は、入院1日につき決まった金額を受け取る「入院日額」に比重が置かれた内容でした。
もちろん、入院日額の保障が不要ということではありません。
ただ、以前と現在では、入院やがん治療の受け方も変化しています。
厚生労働省の患者調査によると、退院患者の平均在院日数は、1996年の40.8日から、2023年には28.4日となっています。また、厚生労働省は、主ながんについて入院日数が短くなる一方、外来患者が増え、通院しながら治療を受ける人が増えていると説明しています。
参考:令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省
参考:がん患者の就労や通院治療に関する資料|厚生労働省
そのため、医療保険を見るときは、入院日数だけでなく、次のような点も確認したいところです。
- 入院時にまとまったお金を受け取れるか
- がんの通院治療に備えられる内容か
- 治療中に収入が減った場合、家計を維持できるか
- 貯蓄や公的保障で対応できる部分はどこか

ただし、加入時より年齢が上がっている以上、新しい契約を検討する際は、保険料や健康状態も大切な判断材料です。
既往歴や治療状況によっては、希望する内容で加入できない場合や、条件が付く場合もあります。
今の契約を先に解約してから考えるのではなく、まず現在の内容を確認し、必要であれば選択肢を比べてから判断することが大切です。
収入保障保険と変額保険は残した理由
今回、収入保障保険と変額保険については、継続する判断となりました。
ご主人は現在、個人事業主です。
会社員と比べて、働けない期間の収入への影響が大きくなる可能性があります。また、家族の生活を守るという観点でも、収入保障保険は今も役割があると考えられました。
変額保険についても、
- 加入からの経過年数
- 現在の積立状況
- 死亡・介護保障の役割
- 今後の運用期間
- 解約した場合の金額
- 現在の家計における位置づけ
を確認した結果、今回は継続することになりました。
変額保険は、長く入っているから残す、利益が出ているから残す、と単純に判断するものではありません。
契約した目的と、現在の生活で果たしている役割が合っているかを見る必要があります。
保険を見直すタイミングはいつ?
保険は「10年たったら必ず見直す」ものではありません。
ただし、次のどれかに当てはまるなら、一度確認するタイミングです。
- 結婚、出産、離婚などで家族構成が変わった
- 住宅購入でローンを組んだ
- 転職・独立・退職で働き方が変わった
- 収入が大きく変わった
- 子どもが独立した
- 貯蓄や資産形成が進んだ
- 保険証券を見ても内容を説明できない
- 担当者が辞め、相談先がわからない
- 勧められるまま契約し、加入目的がわからない
- 保険料が家計の負担になっている
保険は、古いから悪いわけではありません。
ガラケーも、電話ができれば十分、使いやすい、料金にも納得しているなら、その人にとっては正解です。
保険も同じです。
今の生活に合っているなら、残せばいい。
でも、結婚、住宅購入、出産、独立と生活が変わっているのに、契約した頃のまま内容を確認していないなら、一度見直してみる価値があります。
貯蓄があれば「保険を卒業する」選択肢もある
保険は、たくさん入るほど安心というものではありません。
十分な貯蓄や資産があり、病気や万一のときに必要なお金を自分で準備できるなら、保障を減らしたり、保険を卒業したりする考え方もあります。
一方で、貯蓄がまだ少ない時期や、自分の収入が止まることで家族の生活に大きな影響が出る時期には、保険が役割を果たすことがあります。
大切なのは、
保険で準備するお金と、自分で持っておくお金を分けて考えること。
保険だけを切り離して考えるのではなく、貯蓄、資産形成、公的保障、住宅ローン、家族の収入まで含めて整理することが必要です。
よくある質問
10年前に入った保険は、古いので解約した方がいいですか?
古いという理由だけで解約する必要はありません。若い年齢で加入したことによる条件面のメリットや、現在では入り直しにくい保障がある場合もあります。保障内容、保険料、解約返戻金、現在の生活状況を確認してから判断することが大切です。
保険の見直しをすると、必ず保険料は安くなりますか?
必ず安くなるわけではありません。加入時より年齢が上がっている場合や、健康状態によっては、入り直すことで負担が増える可能性もあります。一方で、不要な保障の整理や家計全体の見直しによって、負担を調整できる場合もあります。
担当者が辞めてしまい、誰に聞けばいいかわかりません
保険会社へ直接確認する方法もありますし、保険証券を見ながら現在の保障を整理することもできます。まずは、どの保険に何の目的で入っているのかを見える化するところから始めるとよいでしょう。
持病があっても見直しできますか?
現在の契約内容を確認することはできます。ただし、新しい契約を検討する場合、病歴や治療状況、服薬内容によっては、加入できなかったり条件が付いたりする可能性があります。現在の契約を急いで解約せず、慎重に確認することが大切です。
相談したら、今の保険を変えないといけませんか?
いいえ。確認した結果、今の保険を残す方がよい場合もあります。大切なのは、保険を変えることではなく、今の生活に対して保障が多すぎないか、足りない部分がないかを整理することです。
まとめ|若い頃の自分ではなく、今の自分と見比べる
保険は、使わずに済む人生が一番です。
でも、いざ使うときに、今の家族や生活を守れないのであれば、保険料を払い続けていても十分な役割を果たせません。
今回のご夫婦は、12年前の保険を全部解約したわけではありません。
- 終身保険と医療保険は見直す余地を確認
- 収入保障保険と変額保険は継続
- 現在の生活に対して備えが不足していないかを確認
- 家計に生まれた余裕は、将来への積立と今の生活に振り分ける
という形で整理されました。
「若い頃に入ったから大丈夫」ではなく、今の家族、仕事、貯蓄、将来の希望と見比べてみる。
それが、本当の意味での保険の見直しだと思います。
FUMITASでは、保険への加入や見直しを前提にせず、まず現在の契約内容と家計全体を整理しています。
- 担当者が辞めて相談できる人がいない
- 保険証券を見ても内容がわからない
- 独立や住宅購入のあと、保険を確認していない
- 今の保障が足りているか知りたい
- 将来への備えと今の生活のバランスを整えたい
このような段階でも大丈夫です。
保険証券を見ながら、今の保障の過不足と、家計全体のバランスを一緒に整理します。広島での対面相談のほか、オンライン相談にも対応しています。
三宅 竜二(Miyake Ryuji)
広告業界からFPへ。金融業界の「当たり前」に染まっていないからこそ、お客様と同じ感覚で、まずはお話をじっくり伺うことを大切にしています。一方で、各金融機関や専門家と強固な連携体制を整えておりますので、実務面でも多角的なサポートが可能です。難しいお金の話を、等身大の言葉で一緒に整理していきましょう。
「何から相談すればいい?」そんな段階でも大丈夫です。
公式LINEから、まずはお気軽に声をかけてください。
※広島・岡山での対面相談、全国オンライン相談どちらも対応可能です
注意書き
本記事は、生命保険に関する一般的な情報と相談事例をご紹介するものであり、特定の保険商品の推奨・勧誘を目的としたものではありません。
保険商品の保障内容、保険料、解約返戻金、リスクなどは、商品や契約条件によって異なります。
FUMITASでは、保険証券の内容確認や、家計・貯蓄・公的保障などを含めたお金全体の整理を行っています。保険商品の具体的な提案・募集・契約手続きについては、FUMITASの業務として行っていません。